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「ポリエステル」素材別お手入れ第7弾!
こんにちは、mikuです。
寒い日が続きますね。今朝、車の温度計を見たら0℃になっていました。
フロントガラスも凍っていて、出発するまでに時間がかかってしまいました(泣)
みなさん、暖かい恰好をしてお過ごしください。
今日は、素材別のお手入れ第7弾!「ポリエステル」です。
クリーニング(お洗濯)のキホンは素材を知ることから
私たちがお洋服をお預かりして、洗い方をご提案する時に、まず考える事は「このお洋服はどんな素材からできているか」です。シミや汚れを落とすのに、ウェット処理ができるか、ドライクリーニングにするのか・・・
素材を見極めて、お手入れ方法を考えます。
クリーニング師になるための基本のキホンなんです。
試験でも素材の特徴を問われる筆記試験や、小さい布を触って、何の素材からできているか回答する実技試験もあるぐらいです。
クリーニング師の私たちは、触った感触や見た目、張りやテカリ感などで、どんな素材なのか、だいたい分かるんですよ~。
「ポリエステル」の特徴
繊維は大きく分けて2つに分類されます。
植物や動物などから作られる「天然繊維」と、人工的に作られた「化学繊維」です。
ポリエステルは化学繊維の中で、3大合成繊維と呼ばれていて、アクリル・ナイロンとともに、化学繊維の生産量の90%を占めているんです。ナイロンは産業用、アクリルは寝具やインテリアをメインに使われているのに対して、ポリエステルは衣料用品で大活躍しています。最近では、ポリエステルの超極細繊維、マイクロファイバーが主流になってきています。
ポリエステルの長所は
①最も強い繊維の1つと言われるほど、丈夫
②シワになりにくく、型崩れしにくい
③※熱可塑性がよい
短所は
①染色性はやや劣る
②毛玉ができやすい
③油汚れを吸着しやすい
※再汚染しやすく静電気を帯びやすい
(※熱可塑性:熱して変形させてから、冷ますと変形したままになること。プリーツ加工などの使われます。)
(※再汚染:洗濯液中に、一度流れた汚れが再び繊維に付いてしまうこと。)
ポリエステルは油となじみやすい
先日、ポリエステルからできている、食べこぼしが付いてしまったパンツをお持ちになったお客様がいらっしゃいました。
ポリエステルはおうち洗いしやすい洋服が多く、何度か洗濯を試したそうですが、落ちずに残ってしまったとお困りでした。
ポリエステルには水を吸いにくい性質があり、水溶性の汚れの汗などが付いても、おうちの水洗いで落ちやすい利点がありますが、逆に油を吸いやすい(親油性といいます)性質があり、水洗いでは油溶性の汚れが落ちにくいです。このため、今回は食べ物に含まれた油分が取れないで残ってしまったことになります。
ニックのドライクリーニングで、油分がキレイに取れ喜んでいただきました。
しかし、この油分はお家の油と同じように、時間の経過とともに酸化してきます。
酸化するとシミが変色になり、クリーニングでも落ちづらくなるので、注意してください。
ポリエステルの場合は、気温や湿度によりますが、20~30日経過すると変色してしまうので、油汚れが付いたら早めにクリーニングに出してくださいね!
形状記憶シャツ
かつては、価格を下げるために多用されたポリエステルですが、現在では、機能性素材や形状記憶素材など、ポジティブな方向でも多用されるようになっています。
その中でも、ポリエステルが混紡されている形状記憶シャツは、アイロンがけが不要な物や、綿100%の従来のシャツよりもかなりシワになりにくいため、アイロンがけを軽くかければ済みます。
自宅で洗濯ができ、手間がかからないので、現在のワイシャツの主流になってきています。
しかし、油となじみやすい親油性の性質を持つポリエステルが混紡されていると、首元の皮脂汚れが襟につき、黒ずみや臭いの原因になります。。おうちで洗っている物も3回に1回はクリーニングに出して、皮脂汚れをきちんと落とすことで、予防できます。
ポリエステルのお手入れの注意点は3つ
1.逆汚染
汚れの付いた洋服と一緒に洗濯をすると、その汚れが付着する場合があります。これを逆汚染といいます。特に白いポリエステルの場合は黒ずみの原因になります。
汚れが付いた物とは一緒に洗わず、洗濯の量も6~7割程度に留め、洗剤の量を適正量使用しましょう。洗剤の量を増やせば、汚れ落ちもよくなると思っている方もいるかもしれませんが、適正量以上の洗剤を入れてしまうと、十分にすすがれず、洗剤がお洋服に残り、残った成分が汚れをコーティングし、結果的に汚れが落ちきらなくなってしまったり、漂白成分や蛍光剤が残ったままだと、変色や色落ちの原因にもなります。
2.煮洗いは不可
頑固な汚れや臭いには、煮沸消毒が有効と思われるかもしれません。しかしポリエステルは、熱湯につけると縮んだり、シワだらけになる可能性があるので、注意が必要です。
では、なぜポリエステルは熱湯に弱いのでしょうか。
それはポリエステルが固体から液体、液体から気体へと温度によって変化する、石油を原料としているからです。これが70℃前後の熱湯をつけると、軟化する性質があるので、元の形を保つことができなくなり、脱水や乾燥の段階で、型崩れやシワを引き起こしてしまうんです。
3.洗濯表示は必ずチェック
ポリエステルと異素材を混合したお洋服や、100%ポリエステル素材の表示でも、何らかの機能性が添加されているお洋服が多くあります。混紡されている他の素材などによって、洗濯方法が変わってくるので、洗濯表示を必ず確認してくださいね。
普及率が高く、比較的扱いやすいと思われるポリエステルですが、意外に難しいですよね。
大切なお洋服や、洗い方に悩んだ際には、ぜひニックにご相談ください。
今日は、素材別お手入れ第7弾!「ポリエステル」でした。
2022/01/20